
なかの農場
- WEBサイト
- サービスサイト
兵庫県丹波市で2024年に法人化された農業法人「なかの農場様」のWEBサイトを制作しました。同社は、地域の担い手不足により耕作放棄地となっていた約50町もの田畑を引き受け、「格別にうまい丹波の米。」というコンセプトのもと、丹波の風土を活かした高品質な米作りに取り組んでいます。今回はサービスの立ち上げ期にあたり、ブランド開発からEC導線まで、全体の構想と具体の設計を一貫してサポート。ロゴは筆を使って実際に描き起こし、手仕事の温かみと上質さを共存させるブランド表現を設計。WEBサイトもその世界観に沿って構築し、商品や取り組みの背景にある“物語”が自然と伝わる構成としています。EC機能にはAPI連携を活用し、WordPressでの運用のしやすさと決済サービスの拡張性を両立させました。
mission
(課題・狙い)
- JA出荷に依存しない自社販路の確立と、直販チャネルとしてのEC基盤の整備
- 一度購入したお客様が継続的に注文できる、わかりやすく信頼感のあるオンライン導線を設けたい
- 生産背景や品質のこだわりを言葉と写真で丁寧に伝え、「農業 × ブランド」の魅力を発信したい
- 高級感のある米としてのブランディングと、地域に根ざした親しみやすさの両立を目指したい
solution
(やったこと)
- ECサイトはAPI連携により、WordPressのCMSとしての柔軟性を活かしつつ、カート部分は専用サービスを導入して機能性を担保
- ロゴ・キャッチコピー開発から関与し、サイト全体のトーンや構成も含めたブランドイメージを統一
- トップページは大胆な写真配置とタイポグラフィで、「格別にうまい米」の世界観と生産地の力強さを可視化
- 商品紹介だけでなく、生産者の思いや取り組みを伝えるセクションを設け、初めて訪れたユーザーにも信頼感と関心を喚起する導線を設計









design concept
(制作に込めた意図)
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コンテンツ構成の意図:「品質」と「誠意」が見える、五感に訴える構成へ
サイトの出発点は「米のおいしさ」をどう伝えるかにあるが、その背景にある社会貢献性や土地のポテンシャル、設備投資への意識までも丁寧に組み込み、なかの農場というブランドの“文脈”をしっかりと提示する構成とした。
トップではコンセプチュアルな言葉とビジュアルで「うまい米=価値がある」という直感的理解を促しつつ、スクロールに応じて土・水・人・設備といった品質の根拠に触れられるよう、余白を活かしたリズム設計を行った。商品の詳細では、一般的なECにありがちなスペック羅列ではなく、粒立ち・炊き上がりなど、舌や視覚で味わうような記述を設け、読んだだけで「食べたくなる」構成を意識した。 -
UI/UX設計の意図:価格でなく、感性で選ばれる体験を
ターゲット層にとって「お米」は日用品であると同時に、贈答やこだわり購入の対象でもある。その両方の心理にフィットするよう、「安っぽさ」や「通販サイトらしさ」は徹底して排除。
サイト構造は極力シンプルに保ち、迷わず商品にたどり着ける直線的な導線を基本としながら、途中でなかの農場の“思想”や“空気感”にも自然に触れてもらえるように設計。
スマホ閲覧時でもブロック構成が破綻せず、視覚的没入感を保てるよう、各コンテンツは間の余白を贅沢に取り、スクロールのテンポにも配慮した。 -
ビジュアル演出の意図:洗練と土の温度が共存する、現代的農業ブランドへ
単に「ナチュラル」「安心」「農家らしさ」といった記号的な演出ではなく、「農業を未来に開いていく姿勢」をベースに置きつつも、五感に訴える豊かさを備えたビジュアルを採用。
トップはあえて光沢感のある器に盛られた白米を主役に据え、暗背景とモダンな書体で格を感じさせる構成とした。その下に続く丹波の風景写真は、あえてややノスタルジックなトーンに整え、地域性・気候・文化といった土の物語を視覚的に伝える。
全体としては、「現代的なラグジュアリーではないが、“上質な日常”を連想させる世界観」を一貫して維持している。
- なかの農場のWebサイトは、単なる直販のためのECではなく、「どんな想いでつくられ、どのように美味しさが生まれているか」を丁寧に掘り下げ、言葉とビジュアルの両面で信頼を積み上げる設計を志向した。
- 商品を売る前に、価値を伝える。価格より先に、印象で選ばれる。そのために、構成・体験・空気感のすべてが慎重に調整されている。
- 結果として、初見のユーザーにも既存の購入者にも、なかの農場の米が「間違いのない選択肢」として記憶されるような、誠実で芯のあるWebサイトとなっている。
project data
(プロジェクト詳細)
- Client
- なかの農場株式会社
- Date
- 2022.10
- URL
- https://nakano-nojo.com
- Director
- 有賀 史朗
- Designer / Coder
- 有賀 史朗
- Photographer
- 竹内 吉崇